Travelogue

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「1枚で様になるカットソー」
を目指して

カットソーは、ブランドの設立当初から作り続けているアイテム。
素材やデザインを変えつつも定番として愛される1枚をご紹介します。

上質な素材を用いてエレガントに。

カットソーは「utilité」を始めて以来、ずっと力を入れているアイテム。1枚で様になることを目標にしながら、デニムにもパンツにも合って、リラックスしながら今の空気を取り入れられるものをと考えています。

定番の「ドルマンプルオーバー」は身幅がたっぷりしているので、着たときに自然ときれいなフレアが生まれるだけでなく、後ろ身頃が長くなっているので、気になるお尻まわりをカバーします。隠したいところは隠しながら、華奢な手首を見せることで、さりげなく女性らしく見える1枚。2020年の秋冬は、クラシカルな雰囲気のボトルネックで、時代に合った空気を取り入れています。

「コットンドルマンプルオーバー」はゆったりした身幅とドルマンスリーブで、体のラインを拾わないのが特徴。リラックス感がありながら、ボトルネックや袖口のギャザーにより上品な印象に〈1〉

「utilité」のカットソーの多くは、和歌山の機屋さんにお願いして作っていただいています。和歌山は古くからカットソーの一大産地で、技術が高く、国内外のハイクオリティなブランドの製品も和歌山で作られているほど。丸編み(螺旋状に編み地を編み上げ、円筒状に編み地を作成する方法)で編んで1枚の生地にしたものを用いますが、落ち感があるもの、女性らしさが感じられるものなど、ちょっとした生地の選び方で印象が変わってきます。

ともすると運動着っぽくなりがちですが、「utilité」ならではの“ちょっとカジュアルで、ちょっとフェミニンなテイスト”を上質な素材に落とし込んで、エレガントに着られるようにしています。

写真左上:ワイドシルエットなので、着ると立体的で美しいフレアラインが生まれる〈2〉  写真右上:軽く、やわらかく、しなやかさが感じられるミニ裏毛〈3〉 写真下:和歌山の機屋で使っている丸編み機

2020年の秋冬、「ドルマンプルオーバー」に使っているのは、高級綿で知られるスーピマ綿の極細糸を36ゲージという世界最高峰のハイゲージでミニ裏毛(裏毛パイルの中ではループが小さく、薄手の素材)に仕上げた生地。多面構造であるミニ裏毛はしっかりとした生地面ですが、超ハイゲージで編み上げることで、まるでTシャツのように着ることができて、スーピマ綿なので高密度でもやわらかい印象になります。色は白、グレー、黒の3色。ミニマムなカラーで展開しています。

大人の女性に似合うカットソーを作りたい

カットソーのデザインは、ヨーロッパなどの国々を巡る中で、ディテールが美しいカットソーを着ている人たちをたくさん目にして、それらに刺激されて生まれました。

フランスはカットソー大国で、リヨンをはじめとする有名なカットソーの産地が数多くあります。ボーダーTシャツはフランス海軍の制服としても知られるように、丈夫で動きやすく、フランスでは古くからなじみのあるアイテムです。

フランスには今でもカットソーを中心に作っているブランドがたくさんあって、愛され続けているんですよね。その一方で、かねてから日本には大人の女性に似合うカットソーが少ないと感じていて、自分たちが作れたらと思ったんです。

前後差のあるヘムラインによって、サラリと着るだけでこなれ感が出る。ボトムを選ばないので、デイリーに活躍するはず〈4〉

腕を伸ばしたり、大きめサイズにしたりと、“今”に合わせて常に修正や変更を重ねながら作っているこの形は自信作。どんなものでも定番になるまでは年数がかかりますし、まだブランドのアイコンとまではいえませんが、これからも作り続けていくつもりです。

PHOTO:
三浦伸一(トップ、1〜4)
TEXT:
増田綾子(HELLO, FINE DAY!)

Travelogue CHAPTER03_utilité

「1枚で様になるカットソー」
を目指して