Travelogue

STAMPSの旅の記録

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初めて作ったウールのプリント

「utilité」の立ち上げから作り続けているプリント生地。
2020年の秋冬は、ウール100%の生地に手描きのチェックをプリントしました。

フェミニンな要素を取り入れてデザインしている「utilité」は、大人の女性にも似合うプリント生地が人気。これまでは、春夏シーズンにコットン生地の花柄プリントを作ってきましたが、今回初めて、ウール生地に挑戦です。

「プルオーバーブラウス」はシンプルなデザインとゆとりのあるサイズ感で、合わせるボトムを選ばない。きちんと感がありながら軽やかで、シワになりづらい生地なので、オンオフ問わず着られる〈1〉

旅先で目にしたものがイメージソースに

「こんな服を作りたい」と考えるとき、必ずイメージソースがあります。それは、旅先で街を歩いたり、お店や美術館を巡ったりする中で目にしたものや見つけたもの、撮った写真など。それらをミックスして、毎回、デザイナーに写真や絵、文字でイメージを伝えて、デザインに落とし込んでもらうという作業をしています。

プリント生地は「utilité」の立ち上げから作り続けていますが、2020年の秋冬は、初めてウール100%の生地に挑戦。80番単糸を用いて丁寧にヘリンボーン柄に織り上げた生地に、手描きのチェックをスクリーンで一枚一枚プリントしました。

写真左:柄が主張しすぎないので、いつもの服にもすんなりなじむ〈2〉 写真右:一見すると、ウールとは思えないほどサラリとした手ざわりなので、秋口から肌寒い日が多い春先まで着られる。人の手によるランダムな チェック柄は、ぬくもりが感じられる〈3〉

80番単糸は極めて細い糸のため、薄手で軽いのにあたたかく、清涼感も持ち合わせているのが特徴。コットンとは違ってウールにプリントを施すのはむずかしく、コストもかかりますが、素材と柄で秋冬の雰囲気を表現したいと考えました。色ははじめに強くイメージしたグレーと、ネイビーの2色です。

このプリントのイメージソースは、頭の中にあった、北欧のアノニマスなファブリック。よくテーブルクロスに使われているようなダークな色合いのものです。ドイツのミュージアムで見たものにも刺激されているかもしれません。

旅先で見た景色や出会ったものなど、記憶の断片をつなぎ合わせることでデザインが生まれる

プリントに合ったシンプルなデザインを

形は、プルオーバーブラウス、バルーンスリーブワンピース、ノースリーブワンピース、ギャザーフレアスカート、ストールの5種類。

プリントに合う形を選んでいくのですが、手を入れすぎてしまうと柄が見えなくなっていくので、ブラウスはシンプルなデザインに。大きく柄が見せられるワンピースはタックや、手首をキュッとしぼれるコードを入れるなど、ディテールにこだわりました。

写真左:身幅に余裕を持たせたワンピース。落ち感のある生地なので、すっきりとしたシルエットに。黒の小物を合わせて、モノトーンでまとめて〈4〉 写真右:フレアシルエットが目を引くロングスカート。ウエストに細かくタックを寄せて、上品で大人っぽく。やわらかなグレーにチェックの黒を合わせてモダンな印象に〈5〉

ウールは独特のふくらみや温かみがある素材ですが、より洗練されたイメージを追求するため、できるだけ薄手で美しいドレープが出る生地を探しました。

生地を選ぶことは毎シーズン最も重要な過程のひとつです。これからも上質な素材にこだわり続け、表現の幅を広げていきたいと思っています。

PHOTO:
三浦伸一(TOP,1,3)
山本あゆみ(2,4,5)
TEXT:
増田綾子(HELLO, FINE DAY!)

Travelogue CHAPTER03_utilité

初めて作ったウールのプリント