“生活のギャラリー”というコンセプトのもと、 日常の中で、長く大切に使える上質な洋服や雑貨を提案する「GALERIE VIE(以下、ギャルリー・ヴィー)」。「ギャルリー・ヴィー」では、2013年から毎シーズン、STAMPSが展開するフランスのバッグブランド「TAMPICO(タンピコ)」をセレクトしてくださっています。
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2021年2月20日から、「ギャルリー・ヴィー 新宿伊勢丹店」を皮切りに「ギャルリー・ヴィー」の4店舗で、「TAMPICO」のポップアップショップがスタート。「TAMPICO」がずらりと並ぶ、この特別なイベントを直前にひかえ、STAMPSディレクターの吉川が、バイヤーであり、「TAMPICO」の愛用者でもある影山さおりさんをお迎えして、「ギャルリー・ヴィー」から見た「TAMPICO」の魅力に迫りたいと思います。
吉川 影山さんとのお付き合いは、弊社から「TAMPICO」の買いつけをしていただくようになったときからなので、8年前からでしょうか。まだ僕が独立して会社を立ち上げたばかりのとき、南青山にあった小さい事務所に来ていただいたんですよね。
影山 そうです。当時、私は「ギャルリー・ヴィー」のお店のディレクションや在庫管理の仕事をしていたのですが、前任のバイヤーの大城と一緒に伺いました。
吉川 以前「TAMPICO」を担当していた輸入代理店から引き継いだばかりだったので、新しいコンセプトを打ち出そうと“生活の道具としてのTAMPICO”というのを考えて、まとめたものをお渡しした記憶があります。白(のバッグ)だけを床にたくさん並べてお見せしたんですよね。
影山 部屋に入ったときに世界観が伝わってきて、すごく素敵だったので、今でも印象に残っています。シンプルなのに大胆さもあって、かっこいいなと思いました。もともと「ギャルリー・ヴィー」は白という色をとても大事にしているのですが、お店に並ぶ様子まですぐに想像できて。それから毎シーズン、オーダーしていて、「ギャルリー・ヴィー」にはなくてはならないブランドです。
吉川 その後、ポップアップショップをやっていただけるというお話をいただいて、本当にうれしくて狂喜乱舞した覚えがあります(笑)。独立して、自分の思い通りにやってみて、それが伝わった喜びを初めて経験させていただいたというか。さらにポップアップの売れ行きもよかったんですよね。
影山 そうですね。今も毎シーズン、完売してしまいますが、そういうブランドはなかなかないんです。新しいお客様はもちろんですが、一度購入して気に入られて「2個目がほしい」「違う形がほしい」とご来店くださる方も多くて。
吉川 それはバイイング力というか、バイイングの妙技だと思います。必ず違う形や新しい素材を選ばれますよね。おそらく数年間、バイイングをされる中でイメージをお持ちで、ブランドとしての鮮度を保ちながら、「今回はこれ」と選んでくださっているのかなと。お店に伺って「TAMPICO(のバッグ)」を拝見すると、もちろん商品ではあるけれど、まるでオブジェのようだと思うんです。
影山 うれしいです。
吉川 展開の方法が素晴らしいなといつも感じます。「ギャルリー・ヴィー」さんならではの展開の方法を確立されていますよね。自然な形で入っているから、お店の一部になっていて。バイヤーさんのお力なんだろうなと。
影山 とてもありがたいお言葉です。一瞬だけのトレンドではなく、お店の一部になる、自然になじむものを買いつけしようというのは、バイイングをする上で、ずっと大事にしていることです。
–––毎シーズン、「TAMPICO」の買いつけの際はどんなことを考えていらっしゃいますか。
影山 「ギャルリー・ヴィー」のお客様は、新しいものをあれこれ買うというより、長く大事に使えるものをほしいという方が多いし、ワンシーズンで使わなくなってしまうものはあまり手にとらないかなと思っています。まずは、その方たちが日常の中で使いやすいかを考えます。あと先ほど吉川さんが「オブジェのよう」とおっしゃいましたが、「TAMPICO」のバッグって絵になるじゃないですか。
吉川 そうですよね。
影山 やっぱり佇まいが素敵だから、生活になじむだけでなく、持つことで気分も上がるので、そんな様子もイメージします。シーズンによって色ものを別注することもあって、「今シーズンはブルーがキーカラー」というときは、リンクさせてブルーをお願いしたり。少しずつ変化をつけてアップデートしていくように意識しています。
吉川 これまで別注していただいた色、たくさんありますね。
影山 ふだんはない黄色、水色、オレンジやトリコロールもありましたね。お客様は「ここでしか買えない」というものに魅力を感じてくださるし、「TAMPICO、今年はこれなのね」と楽しみにしてくださっている方も多いです。
–––今、「ギャルリー・ヴィー」のお客様の年齢層はどのくらいですか?
影山 以前は百貨店が中心で40〜50代の方がメインでしたが、ここ数年で出店場所が変わってきたことで、年齢層も変化してきました。「グランフロント大阪」の出店は転機で、20代の方が増えましたね。2020年6月に「NEWoMan横浜」にも出店して、こちらも20代の方が多いのですが、「TAMPICO」のバッグは若い方にも手にとっていただいています。
吉川 そうなんですね。
影山 逆に60代の方に「自然に持てて、軽くていいわ」と言っていただくこともあって、年齢層が広がっているのを感じます。「ギャルリー・ヴィー」のお客様はご年齢問わず、マインドが若い方が多いですね。もともとエイジレスをコンセプトにしているので、実年齢ではなくて、ご本人のマインドでいいなと思っていただけたらと思っています。
–––エイジレスというのは、「TAMPICO」とも通じるところがありますね。
影山 はい。年齢層もですが、性別もですよね。「グランフロント大阪」と「NEWoMan横浜」には少しメンズラインを置いているのですが、実際に男性のお客様が「TAMPICO」を手にとってくださっているのを拝見しました。私もふだん持っていると「どこのですか?」と男性に声をかけられたりします。
吉川 徐々にですが、広がっているのを感じますね。ふだん男性用、女性用というのを意識していないわけではないですが、自分はこだわらずに使うタイプなので、あまり考えずに企画したり、本国に要望したりしますね。ただ最近は「TAMPICO」に限らず、全体的にものの選び方がジェンダーレスにそうなってきている気がします。そのほうが効率的ですしね。
影山 たしかにそうですね。
吉川 そういえば、前任の大城さんに「ダイナソー」というモデルの別注で、大きいサイズについている短い持ち手を長くしたいというご要望をいただいたことがありました。イメージを本国に伝えて、できあがってきたらとてもかわいく、本国もすごく気に入っていて。TAMPICOを理解してくださっているから、そういう発想が出たんだなと思いました。
影山 「ギャルリー・ヴィー」も大きいバッグが好きなんですよね。最近は少し流行ってきて、だいぶ受け入れられるようになりましたが、7〜8年前は「日常的に使うには重い」「大きくて邪魔になりそう」などと言われることも多くて。決してポピュラーではありませんが、大きいバッグが持つ大らかさは「ギャルリー・ヴィー」のスタイルには欠かせないと思っています。
吉川 「ギャルリー・ヴィー」はセレクトショップですが、いろいろなテイストが入っているわけではなくて、“ギャルリー・ヴィー”というひとつの部屋のイメージで空間がつくられているので、大きいバッグが映えるのかもしれませんね。
影山 お店の中に大きいバッグがポンと置いてあると、すごくかっこいい。大きいバッグが好きな方はわかってくださって、「かっこいいね」と言ってくださいます。
吉川 「TAMPICO」はロゴも入っていないし、布中心で、そこにレザーのパーツがついている控えめなバッグですよね。でも、先ほど影山さんがおっしゃったように「絵になる」というのは、作り手のニコルがずっと油絵を描いていたということが関係しているのかなと。全体のバランス、持ったときのバランスを考えて作っているんですよね。あと素材は、自然に置いたときの形、使ったときの形がどれだけ美しいかを考えながら選んでいて。それも“絵になるバッグ”の理由なのかもしれません。
–––「ギャルリー・ヴィー」のお店で人気のモデルはどれですか?
影山 「ザンジバル」の大きいサイズと小さいサイズはずっと人気ですね。
吉川 〈バッグを指差して〉あとは「ダイナソー」ですよね。これ、長方形に見えるんですけど、実は台形なんです。やっぱりこう、カチッとしていないのがいいんですよね。
影山 そうですね、どこか完璧すぎないというか。抜け感があって。
吉川 人間的というか。今、影山さんに使っていただいているのは、一番初めにお会いしたときに選んでくださったものですよね。
影山 そうです。見た瞬間、何て素敵なんだろう!と思いました。
吉川 実はこれを含めた最初の発注は、写真を見て選んだんです。ボルドーに行ったのですが、「サンプルを持ってこられない」と言われて実物が見られなかったから、大きさがわからなかったんですよ。
影山 まさかこんなに大きいとは!って(笑)。
吉川 そうなんです(笑)。でも逆にすごくインパクトがありましたし、いいかもしれないと。
影山 シンプルなんですけど、なかなかない形ですよね。大きいし、日常的に使いやすいというわけではないかもしれませんが、パッと見たときに「ワーッ」とときめいてしまって。私は一泊の国内出張が多くてそのときも使うのですが、このモデルを知らない若いスタッフに「TAMPICOってこんなのもあるんですね」と声をかけられます。これを見て(TAMPICOのことを)感じとってくれるスタッフも多いと思います。
吉川 僕の経験上、これを選ぶ方はおしゃれな方です(笑)。
影山 (笑)。仕事だけじゃなくて、夏は海に持って行ったりもします。ビーチマットにポンと置いてあるとかわいいんですよ。車のトランクを開けて、置いてある姿もかわいい。
吉川 ああ、海。合いますよね。
影山 あと私は身長が155cmと低いのですが、大きいのに不思議と持たされている感じが出ないところもいいんです。
吉川 これは日本で7年ぶりに復刻して、2月20日からの「ギャルリー・ヴィー」のポップアップでも展開する予定です。お店ではいつも2〜3型をセレクトしてくださっているのですが、今回のポップアップではふだんお見せできない形も並べていただけるので、改めて「TAMPICO」の世界観をお伝えできたらと思っています。
影山 楽しみです。
吉川 ただ「TAMPICO」は機能性という点では、日本人には少しもの足りないところがあるかもしれません。ものを入れたときのバランスが悪くなるからか、作り手側はポケットを一切作りたがらない。ニコルと商談をしていると、よく「どうせwith poketなんでしょ」と言われるんです(笑)。「何で日本人は、ポケットポケットって言うんだ」って。やっぱり彼女らが重視しているのは“佇まい”。もしかしたらバッグと思っていないのかもしれないですね、オブジェのような感覚で。だから“相棒感”のようなものが生まれるのかもしれない。
影山 そうですね。もちろん機能性は大事ですが、それが一番になってしまうと「どこかで見たことあるな」となってしまう気がして。だからある意味、頑固ぐらいのほうがいいのかなと思います。
吉川 やっぱり機能というと「便利」や、ものを出そうとするときに早く出せることですよね。でも、それが心の豊かさにつながるかというと、そうではなくて……。そこをあまり考えずに作ることで、心の豊かさ、ゆとりが生まれるというか。キャンプもそうですが、今、便利じゃなさすぎるのが豊かという考え方もありますよね。
影山 その中で工夫をするのが楽しい、というような。
吉川 そうです。「TAMPICO」はそういう思想が多く入っている気がしますね。「いいじゃない、所詮はバッグなんだから」って。何で「〜を入れるところがある」とか「A4サイズが入る」が必要なんだって(笑)。
影山 そういうぶれない軸がいいなと思います。ちょっと不便なぐらいのほうが愛らしいというか。そういえば私のバッグも、ところどころしみがあって。汚れたらタオルに水を含ませて軽くこすっていますが、しみも味かなと思っています。
吉川 僕もそう思います。きれい過ぎるものはケミカルな感じもするし、少し不自然ですよね。人間が使っていれば、汚れたり、油じみがついたりするものだし、そのままでいいんじゃないかと思っています。アタリも天然素材を使っていれば自然なことですし、いつもクリーンである必要はないかなと。
影山 そうですね。これからもガシガシ使って、味を楽しんでいこうと思います。
影山さおりさん 株式会社トゥモローランド 商品部バイヤー。2007年に入社後、店舗勤務や店舗のディレクション業務等を経て、2017年から「ギャルリー・ヴィー」のバイヤーに。 https://galerievie.jp/
TAMPICO POP UP SHOP @ GALERIE VIE
TAMPICOのバッグが一同に会するPOP UP SHOPを4店舗で開催予定です。
ぜひお越しください。
GALERIE VIE
伊勢丹新宿店 2月20日〜3月2日
自由が丘店 3月5日〜3月14日
NEWoMan横浜店 3月5日〜3月14日
グランフロント大阪店 3月17日〜3月28日
Instagram @galerievie_jp
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有賀 傑(*以外)
- TEXT:
- 増田綾子(HELLO, FINE DAY!)