TAMPICOが生まれたおおらかな街、ミュシダン
「TAMPICO(タンピコ)」は、上質で丈夫な布を用いて、職人の手でひとつひとつ縫製している、フランス生まれのバッグブランド。シンプルで洗練されたデザインですが、どんなものもポンポン入れられて、家も庭も、街も海も似合う、いつでも気負わずに使えるバッグです。
「TAMPICO(タンピコ)」の創設者でデザイナーのニコル(左)と、ビジネスパートナーである娘のジュリー(右)
デザインから製作に至るまで、“メイド・イン・フランス”。職人の手仕事で作られるバッグは、フランスでは貴重になりつつあります。フランスというと、スタイリッシュなパリジェンヌを想像しますが、「TAMPICO」が生まれたのは、ゆっくり時間が過ぎる、自然豊かな田舎町。今日はTAMPICOの作り手たちに思いをはせてみたいと思います。どうぞお付き合いください。
パリから南西に向かって、車で約6時間。「TAMPICO」のバッグは、1990年、南フランス・ボルドー市郊外のミュシダンという小さな町で生まれました。作り手は、創始者でデザイナーでもあるニコル・マルタン、パターンをひいてサンプルを制作するパートナーのディディエ、ニコルとともにデザインや運営を担当する娘のジュリーの3人。家族経営のブランドです。
ボルドーの芸術大学を卒業後、画家として活動していたニコルは、前の夫を亡くしたのをきっかけに絵を描くことから離れ、バッグを作り始めました。
バッグはアート同様、美しくあるべき
ミュシダンから車で2時間ほどのアルカションというビーチリゾートで、幼少のころから青春時代までを過ごしたニコル。今も別荘を構えてここで週末を過ごしていて、海は身近な場所です。ニコルがビーチに持って行くために作ったのが「BEACH BAG(ビーチバッグ)」。丈夫で、底面が大きくてたっぷり入るので、水着や着替え、飲み物や軽食などを入れて出かけます。
いつでも自分らしいおしゃれを忘れず、かっこよくいるフランス人らしく、必要なものが持ち運びしやすいだけでなく、持って歩く姿も美しい。荷物を入れて運ぶためにあるとはいえ、バッグとしての美しさとディテールをとことん追求しているばかりか、身につけたときの美しさまで考えて作られているのです。
写真左上:ボルドーに住む人の多くがバカンスを過ごす、アルカションの海。デザインやブランドイメージなどは、アルカションから着想を得ているものも多い 写真右上:STAMPSディレクターの吉川がミュシダンへ訪れたとき、ニコルとディディエがアルカションのビーチへ連れていってくれた 写真下:ふたりがお気に入りのレストラン。潮風を感じながら心地よいランチタイムを過ごした
バッグのサイズも彼らのライフスタイルをもとに作られていて、日本でふだん使いするには大きいため、日本ではひと回り小さいサイズを中心に展開。寸法の指示まですると“TAMPICOらしさ”がなくなってしまうので、「7割程度に」のように、余白を残しながらオーダーしています。
日本で展開する「BEACH BAG(ビーチバッグ)」。写真は、定番で人気のトリコロールカラー。「SMALL」は、A4の書類が入るサイズ感で使い勝手がいい〈*〉
また「自分たちが使うため」に作っているというところも日本人にはない感覚です。「多くの人に受け入れてもらおう」という考え方ではなく、自分たちが使いやすいと思うバッグを作る。その潔さが、機能性やデザインをより際立たせているように感じられます。
次回は、年齢や性別を問わず支持されている「TAMPICO」のバッグの形や種類についてご紹介したいと思います。
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有賀 傑(TOP)
三浦伸一(*)
- TEXT:
- 増田綾子(HELLO, FINE DAY!)