Travelogue

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「Slice Of Life」の“制服”になった
STAMP AND DIARYの服

2023年春から、三越伊勢丹の自主編集ショップ「Slice Of Life」の制服として採用されているSTAMP AND DIARYのTシャツとペグパンツ。その経緯や理由をバイヤーとして活躍中の圓谷さんと橋野さんにインタビューします。

老舗百貨店の三越伊勢丹が展開する「Slice Of Life(スライス・オブ・ライフ)」は、2013年の立ち上げから、好きなものに囲まれた上質で丁寧な暮らしをかなえる洋服や服飾・生活雑貨を提案し続ける自主編集ショップ。現在、STAMPSが展開するSTAMP AND DIARYとutilitéを取り扱ってくださっていますが、2023年春からスタッフの制服として、STAMP AND DIARYの「ハイマイクロコットン天竺 ワイドスリーブTシャツ」と「スーピマコットン60/2ギャバクリアカット ペグパンツ」を採用くださっています。

そこで今回は、伊勢丹立川店の1階にある「Slice Of Life」にSTAMPSの代表でディレクターの吉川が伺い、商品担当である圓谷亜由美さんと橋野まどかさんに、その経緯と理由、日々身に着けているスタッフの皆さまの感想などをお聞きすることにしました。

伊勢丹立川店1階にある「Slice Of Life」。上質で丁寧な暮らしを実現する洋服や服飾・生活雑貨を提案する伊勢丹の自主編集ショップ。立川店では、STAMP AND DIARYとutilitéをはじめ、約30ブランドをラインナップする

–––あらためて「Slice Of Life」のコンセプトをお聞かせください。

圓谷亜由美さん(以下、圓谷) 「Slice Of Life」は「いつも使える、私の心地いい」をテーマに、着心地のよい日常着と、暮らしを豊かにする生活雑貨を提案する自主編集ショップです。現在は立川店、浦和店、静岡店、新潟店、仙台店、松山店の6店舗を展開しています。

吉川修一(以下、吉川) こちらの伊勢丹立川店は多摩地区の文化発信地ともいえる場所。「Slice Of Life」はこの地域にお住まいの感度の高いお客さまが利用されるイメージがあります。リピーターさんも多くいらっしゃるのでは?

圓谷 「Slice Of Life」のある店舗はどこも地域密着なので、散歩コースのように立ち寄っていただくことが多いです。「秋物が入ってきたわね」などとお話したり、「あのとき見たあれをもう一度見たい」とお戻りになられたり。年齢層は20〜60代と幅広く、立川店は赤ちゃん連れのお嬢さまと3世代でお買い物を楽しんでくださるお客さまもいらっしゃいます。

「Slice Of Life」のバイヤーとして活躍中の圓谷亜由美さん(右)と橋野まどかさん(左)

吉川 おふたりはバイヤーとしてお忙しいなかでも、時々店頭に立たれているんですよね。STAMPSの展示会でお話させていただくと、洋服に対して的確なフィードバックをくださって、おふたりが売り場やお客さまと密にコミュニケーションをとられているのがわかります。バイヤーさんと販売員さんの距離があるお店もあると思いますが、伊勢丹さんはとても近い。だから本当に信頼できるフィードバックなんですよ。

橋野まどかさん(以下、橋野)私たちは根本的にお店に立つのが好きですし、その時間がとても貴重だと感じていて。スタッフやお客さまとの会話から新たな発見があったり、視野が広がったり。

吉川 「Slice Of Life」とSTAMPSは約10年のお付き合いになるでしょうか。STAMPSが創業した2013年、事務所の近くを歩いていたら前職でお世話になった「Slice Of Life」の初代バイヤーさんとばったりお会いして。ちょうど「Slice Of Life」を立ち上げるタイミングとのことで、STAMP AND DIARYの洋服を見ていただいたんですよ。

圓谷 そんなきっかけがあったのですね! お店で圧倒的に人気なのがブラウスなのですが、STAMP AND DIARYのブラウスは「Slice Of Life」に欠かせない存在なんです。私たちのなかで“STAMP AND DIARY=ブラウス”なので。STAMP AND DIARYの洋服は、ほどよくリラックス感があるのに、ちゃんとよそ行きの装いになる。通勤着にも普段着にもなるし、シニア世代の方が着たときに大人の可愛らしさが表現できる。そんなイメージを持っています。

橋野 STAMP AND DIARYというブランドのファンが多い印象です。STAMP AND DIARYは「着心地がいい上質な日常着」をテーマに、生活の道具としての服を作られている。「日常着だけど上質」という点が、「Slice Of Life」のコンセプトとリンクしています。だからファンが多いのだと思います。

体のラインを拾わない、
誰でもきれいに着られるTシャツ

–––「Slice Of Life」では、この春からスタッフさんの制服としてSTAMP AND DIARYのTシャツとパンツをお使いいただいています。選ばれた理由からお聞かせください。

圓谷 制服には条件がいくつかあります。まず、どんな背丈や体型の人にも似合うこと。次に、デザイン性が強いものや目立つものでなく、シンプルであること。そして、毎日着るものなので扱いやすいこと。洗濯ができなかったり、お手入れに手間がかかったり、アイロンをかけないといけないといったものは選ばないようにしています。

また、スタッフが着用していると「それがほしい」とお客さまがおっしゃることが多いので、買い付け数も十分に確保する必要があるんです。実はSTAMP AND DIARYの刺繍のブラウスも候補だったのですが、「Slice Of Life」で毎シーズンすぐに品切れになるほどの人気アイテムなので、候補から外れたという経緯があります。

2023年春から、「Slice Of Life」の制服として採用していただいている「スーピマコットン60/2ギャバクリアカット ペグパンツ」(左)と「ハイマイクロコットン天竺 ワイドスリーブTシャツ」(右)

吉川 そうだったんですね。数あるトップスのなかで「ハイマイクロコットン天竺 ワイドスリーブTシャツ」を選ばれたのはなぜでしょうか?

圓谷 トップスは、STAMPSの展示会で見て迷いなくこのTシャツに決めました。身幅にゆとりがあり、体のラインを拾わないので、どんな体型の方でもきれいに着られますし、シンプルなパンツと合わせても様になります。なんと言っても動きやすい。スタッフは接客だけでなく、バックヤードの仕事もありますので。両手を上げたり、しゃがんだりしたときに動きやすいという点もポイントでした。

橋野 ネックの開きもちょうどいいですよね。女性はかがむときに胸元が気になる方が多いと思うので。それと、40〜50代のスタッフの「二の腕が気になる」という意見から、袖丈は長めのものを選ぶようにしているのですが、このTシャツは適度な丈感です。また、袖口が広がっているので夏場も蒸れにくいという点も理由の一つでした。

なめらかなコットン100%の「ハイマイクロコットン天竺 ワイドスリーブTシャツ」は、あたたかな季節には1枚で、肌寒い季節にはワイドシルエットのカーディガンやアウターとの重ね着も楽しめる。リラックス感のある身幅、大きく肩の落ちるカッティングが美しいシルエットを作る

吉川  素材感はいかがですか? 

橋野 スタッフからは、薄手なのに丈夫で、柔らかくて気持ちがいいという声を聞きます。

吉川  うれしいです! このハイマイクロコットン天竺という素材は、良質のコットン糸を空気を含ませながらゆっくりと編んでいて、ふっくらとしているのですが軽さがあり、なめらかな生地感が特徴なんです。一年中着られるのも良いところで。

橋野 ご試着されたお客さまも、肌ざわりがとても良いとおっしゃられますよ。

アイロン不要のハリのある素材と
足を長くスリムに見せるペグパンツ

ーーボトムに採用してくださっている「スーピマコットン60/2ギャバクリアカット ペグパンツ」についても、ぜひお話をお伺いしたいです。

圓谷 STAMP AND DIARYのパンツは個人的にも大好きなアイテムで。ウエストがゴム入りで、さらにコード付きで調整がしやすいので、さまざまな体型の人が着られますよね。トップスとのバランスがとりやすいデザインですし、生地に光沢があり、カジュアル過ぎないのもいい。このパンツも、悩むことなく選びました。

「スーピマコットン60/2ギャバクリアカット ペグパンツ」は高密度で丈夫なコットン地で作られており、独特の光沢とハリが特徴。ヒップラインにゆとりがあり、裾に向けて細くなるシルエットで、カジュアルなアイテムにも、上品なスタイルにも相性が良い一着

吉川 ギャバジンと呼ばれる、細い糸を高密度に織り上げたコットン地で、通常はトレンチコートやジャケットに使われるような丈夫な生地なんです。同じ生地でワイドパンツなどほかの形も展開しているのですが、ペグパンツを選んでくださったのはどんな理由からでしょうか?

圓谷 「Slice Of Life」ではこの形が一番人気なんです。ラインがすっきりときれいで、足を長くスリムに見せてくれるので、どんな身長や体型の方にもおすすめしやすいデザインです。それと、足元とのコーディネートも考えていました。店内では脱げやすいサンダルなどでなく、動きやすいスニーカーや革靴を履くスタッフが多いのですが、そうした足元にはこのペグパンツが合うだろうなと。シンプルにくるぶし丈のソックスにスニーカーやローファーなどを合わせてもかわいいですし。

橋野 スタッフから、アイロンをかけなくてもきれいに履けるハリのある素材感が気に入っているとの声ももらいます。使用頻度が高いので、日々のお手入れのしやすさは重要ですよね。機能という点では、ポケットがあることも私たちには大事なポイントなのですが、STAMP AND DIARYが展開するパンツのほとんどはポケットがついているので安心ですね。 

吉川 STAMP AND DIARYは基本的にワンサイズの展開。にもかかわらず、こんなふうにさまざまな人が着てくださっていることを実感し、改めて感激しています。僕たちが作っているのはもちろん洋服だけど、僕は“制服を作っている”という意識があるんです。制服って最大公約数を目指さなければいけないところがある。毎日着て、それでいて飽きない。素材が丈夫。そしてどこかにドキッとする部分がある……。そうした要素をトータルで成り立たせなければ制服の定義はぶれてしまう。

制服として選んでくださったTシャツもペグパンツも、僕たちが素材を選び抜き、デザインもとことん追求して生まれたアイテム。それをおふたりが見極めてくださったのだと、嬉しい気持ちでいっぱいです。今日は貴重なお時間をありがとうございました。

圓谷 亜由美さん(右) 橋野まどかさん(左) 売り場での販売を経験後、2013年にスタートした伊勢丹の自主編集ショップ「Slice Of Life」をはじめとする複数の婦人服部門のMDを担当する。店頭にも自ら立ち、お客さまやスタッフとのコミュニケーションからリアルなニーズを読みとることを大切にしている。「Slice Of Life」の詳細はこちらをご覧ください

PHOTO:
矢郷 桃
三浦伸一(*)
EDIT&TEXT:
古山京子(Hi inc.)

Travelogue CHAPTER02_STAMP AND DIARY

「Slice Of Life」の“制服”になった
STAMP AND DIARYの服