Owen Barry(オーエンバリー)は、1948年に英国最古のシープスキンファクトリーが立ち上げたブランドです。同国南西部のサマーセット州でオーエン・バリーによって設立されました。
シープスキンは、古くから防寒のために使われる素材。保温性や通気性に優れるだけでなく、なめらかな手触りと自然で美しい艶、毛並みをもつのが特徴です。Owen Barryはこのシープスキンの魅力を生かし、コートやバッグなどの服飾雑貨や、ラグやクッションといったインテリアアイテムを展開しています。
時代に左右されない、真摯なものづくり
ブランド創設前、バリー家は3世代にわたり、タナリー(革なめし工場)を運営する、イギリス最古のシープスキンファクトリーとして知られていました。オーエンがタナリーを受け継いだのは、列強同士が争う時代。彼は、職人たちが手間と時間をかけて仕上げた革が、軍需産業にも使われざるをえなかったことに大きな衝撃を受け、どのように使われるかがわからない素材づくりを一切やめることを決意。その後、信頼できるタナリーから仕入れた革を、一般の人たちが使えるプロダクトに加工・縫製する工場として新たなスタートを切りました。
レザーグローブづくりからスタートした彼らのものづくりは、今では複雑な製造工程のジャケットを完璧に仕上げるまでに発展し、国内外の名だたるブランドからも高い評価を得ています。
自然の恵みを無駄なく、大切に使う
Owen Barryで使用する革は、食肉産業の副産物のみ。環境に対する意識が高いヨーロッパでは、化学繊維を使用した「エコファー」よりも、こうした食用由来の素材に対するポジティブな意見が多数あります。なかでもシープスキンは、ミンクやフォックスなどのファーとは異なり、本来捨てられてしまうものを無駄なく、大切に使うという意味でも環境への負荷が低い素材として認められています。
また、革の仕入れ先は、高い加工技術をもつだけでなく、そこで働く人々や環境へ十分配慮しているタナリーだけを厳選。自分たちの目が行き届くものづくりを目指し、定期的に訪問し、徹底した管理を行っています。
受け継がれる技術を生かして
STAMPSが仕入れているアイテムの革の原産は、フランスやスペイン、イギリスなどが中心。このような羊の生育環境が整った地域で育てられると、豊かで美しい毛並みの丈夫なシープスキンとなるのです。
シープスキンは、羊の原産地や種類によって、質感や毛の長さ、強度などが異なります。たとえば、スペインやフランス原産の革は柔らかく加工がしやすいことから、主に服飾雑貨として、イギリスやスウェーデンなど寒い地域の革は厚く丈夫なので、インテリアの素材として使用されています。Owen Barryでは、さまざまな地域のタナリーとパートナーシップを結んでいるため、その製品に適した素材を選ぶことが可能。長く培われてきた知識と技術を生かし、品質の高いプロダクトを生み出しているのです。
STAMPSがOwen Barryを選ぶ理由
Owen Barryが戦時中、軍需産業の一翼を担うことをせず、あくまで人々の暮らしに寄り添うものづくりがしたいと、事業を転換させたエピソードからは、時代の流れに呑まれない、ものづくりに対する深い信念が感じられます。
近年、レザーやファーの是非についてはさまざまな議論がありますが、食肉産業の副産物を大切に使うシープスキンは、近年、エシカルな暮らしへ関心をもつ人たちから、再び注目されています。使うほどに体になじみ、味わいを増すシープスキンは、きっと長く愛用いただけるはずです。